不育症とは2回以上の流産、死産、早期新生児死亡
の既往がある場合を言います。
不育症の頻度:2回以上流産歴を持つ女性の頻度は4.2%。
不育症の検査
1. 一次スクリーニング検査
1)子宮形態検査(子宮卵管造影 自己負担金7300円)
2)内分泌検査(甲状腺機能freeT4,TSH 、空腹時血糖、PRL、P4 )
上記内分泌検査は保険適応あり:個人負担金:8652円
3)抗リン脂質抗体検査
(血栓や流産のリスクとなる抗リン脂質抗体を調べます。)
抗CLβ2GPI複合体抗体
抗CLIgG抗体
ループスアンチコアグラント
陽性となった際は12週間以上の間隔をあけて再検します。
陽性が持続 :抗リン脂質抗体症候群と診断します。
陽性から陰性:偶発的抗リン脂質抗体陽性例と診断します。
4)血栓性素因スクリーニング
(第ⅩⅡ因子活性、プロテインS抗原、プロテインC抗原 APTT)
上記3)と4)の検査は保険適応有り。
個人負担金は3)4)まとめて4790円
抗CLIgM抗体は保険適応外が検査となり、自己負担金4000円
2.選択的検査
夫婦染色体検査:ご夫婦で50000円
3.不育症の治療
治療は、基礎疾患があればその治療。
抗リン脂質抗体症候群であれば以下の治療を行う。
1. ヘパリン5000単位朝夕皮下注射+低用量アスピリン:
一ヶ月あたりの費用12020円
ヘパリンは胎嚢確認頃から胎盤完成する16週頃まで、
アスピリンは妊娠28週まで投与。
ヘパリンは、原則自己注射で、朝・夕行う。
ヘパリンの副作用:胎児への影響はない。
出血、肝機能障害、血小板減少症などがまれにあり。
血液検査で異常が出れば中止する
血液検査は、治療開始日、7日目、14日目にし、
その後異常がなければ妊娠8週、12週、16週に下記の項目を調べる。
検血、GOT,GPT,Dダイマー(自己負担一回あたり5292円)
2.柴苓湯+低用量アスピリン:一ヶ月あたりの費用4430円:
副作用はほとんどない。
柴苓湯は、分娩になるまで服用できる。
アスピリンは妊娠28週まで内服する。
富山大の報告では、ヘパリン単独での成功率50~60%、
治療1での成功率70~80%
2014年久留米大学の調査では、生児獲得率は治療2で82.6%、
治療1で42.9%であった。